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CATボンド(大災害ボンド)

CATボンド(キャットボンド)とは、保険化が困難といわれる地震や台風、寒波、ハリケーンといったリスク、すなわち、リスクが顕在化する確率は低いものの、発生した場合の損害規模が大きい異常災害リスク証券化し、リスクを金融・資本市場に移転するスキームです。「大災害ボンド」と呼ばれたり、地震を対象としたものは「震災ボンド」と呼ばれることもあります。

CATボンドのメリット

  • (再)保険市場から資本市場へのリスク移転するため、保険限度額以上の引受が可能となります。
  • 支払事由となる事象によって異なりますが、リスクの顕在化から手元に資金が入るまでの時間が短くなります。また、企業によって使途に制限はないため、災害復旧時に比較的早く幅広い用途に資金を充当することができます。
  • リスクが顕在化する前に資金を集めることができるため、リスクが顕在化した場合の必要資金は常に特別目的会社(SPV)に確保されており、保険会社の信用リスクを企業が負うことを回避できます。
  • リスクの種類、支払発生条件、契約期間などの商品設計に柔軟性があり、企業の事業中断による営業損失や企業の周辺地の被災による利用者の減少などの間接的被害に対しても有効な商品設計が可能です。
図 CATボンドの仕組み

CATボンドの発行状況

1992年のハリケーン・アンドリューによる大災害の後、再保険市場のキャパシティが縮小し、再保険料率が高騰したため、保険市場は資本市場の資力を要する状況に陥りました。こうした中、保険市場のキャパシティを補完・増強する目的で、CATボンドの実用化が始まりました。

現在までに、保険会社・再保険会社のみならず、一般の企業が単体でこうしたスキームを活用し、CATボンドを発行したという事例も報告されています。日本では、オリエンタルランドJR東日本で発行事例があり、フランスでは電力会社による発行が報告されています。

参考

  • 経済産業省リスクファイナンス研究会:リスクファイナンス研究会報告書, 2006年3月.