キャプティブとは、特定の親会社(含グループ会社)のリスクを専門的に引き受けるために当該親会社等により所有され管理されている保険会社のことです。キャプティブでは、一般の保険会社では情報格差が大きく保険引受が困難なリスクでも、子会社であることで情報格差を排除することができ、保険化の可能性が広がります。また、再保険市場に直接アプローチすることで、より効率的な付保が可能となるほか、リスクマネジメントセンターとして、グループ企業を一元管理し、リスクマネジメントの機能度を高めることもできます。
キャプティブは、全世界に約4500~5000社あるといわれ、約80%は欧米企業の子会社として設立されています。日本では、1970年代に初めてキャプティブが設立されて以降、海運業、自動車製造業、商社等の大手多国籍企業を中心に設立が進められ、約100社がキャプティブを設立しています。
特殊性が高く、情報の非対称性の存在するリコールや環境汚染、職業賠償責任リスクなど、保険会社では引受が困難なリスクについて、キャプティブのキャパシティ分のリスクを保険の形で自家保有することができます。さらに、元受保険会社がキャパシティを提供できない場合でも、再保険市場へのアクセスが可能となるために、キャパシティ確保の可能性を広げることができます。
自社リスクをグループ企業(キャプティブ)に保有させることによって、企業は自らが積極的にリスクマネジメントに取組むようになり、企業内にリスクマネジメント意識を醸成することができます。
保険会社として、保険事業収益、運用収益が期待できます。
保険やリスクマネジメントのノウハウを蓄積し、再々保険という形で世界の再保険マーケットへアプローチすることにより、再保険市場の保険料水準を知ることができ、保険料交渉を行いやすくなります。また、キャプティブは、企業と保険会社との情報の非対称性を克服するため、自社の損害発生率に応じた保険料の設定が可能となるケースもあり、リスクファイナンスに係るコストの最適化に繋がります。また、企業(グループ)内の各部門(子会社)の保険契約を取りまとめることにより、包括契約として全社的な観点での保険料の低減が見込めます。
参考